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関東大震災をも耐えた建物、「神谷バー」の歴史的価値とは?
建造物としての価値も高い神谷バー
日本初のバーであり電気ブランでも有名な「神谷バー」。文豪も愛したカクテルの評価だけでなく、浅草最古の鉄筋コンクリート造建築物であるなど、建物としての評価もかなり高いのです。
神谷バーの始まりは創業者の「神谷伝兵衛」が自身の郷里の三河を想い名付けた「みかはや銘酒店」。当初は濁り酒の1杯売りをしていたのですが、翌年には輸入葡萄酒の販売に着手し、さらにその翌年には電気ブランが誕生します。
その30年後、当初からずっと煉瓦造りだったお店を鉄筋コンクリートに代えました。その当時、軒並み煉瓦造りの建物が主流だった浅草ではかなり話題を呼んだようです。
数々の災害に耐えぬいた建造物
鉄筋コンクリートにしたのち、1923年に関東大震災や東京大空襲にも見舞われましたが、倒壊も全焼もすることなく、今も当時の姿を残しています。
当時主流だった煉瓦造りの建物も、耐久性が低く脆弱なものというほどではありません。しかし、倒壊してしまった建物は煉瓦造りのものが多く、明治期の建築家の技術では耐震性に重きをおくのは難しかったことが推測されます。
一方、関東大震災前後に注目されていた鉄筋コンクリートは、主に「耐火性」に注目されており、試験的に導入されている程度でした。後のサンフランシスコ地震で耐久性についても優れていると実証されたものの、当時は強度について懐疑的な意見が多数を占めていたようです。
そんな中で、鉄筋コンクリート構造で数々の震災を乗り越えた神谷バーの建物は、その当時の人たちの記憶に深く残り、復興の希望となりました。
神谷バーのこれからと鉄筋コンクリート
モダンなデザインだけでなく建物の強さや歴史をたたえ、2011年には「登録有形文化財」に登録された神谷バー。その後、平成の大修繕とも称されるほどの耐震補強工事を行い、バーだけでなく割烹や洋食部門としても営業を続けています。
先人の技術を想いながら、また、そこに思い出のある方はその時の思い出を振り返りつつ、神谷バーを訪れてみてはいかがでしょうか。電気ブランを飲みながら鉄筋コンクリートの耐震性やメリットについて語るのも乙なものかもしれません。
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