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建築・土木業界にも影響した日本の鉄鋼価格高騰、中国が鍵を握る

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トランプ政権がアルミニウムと鉄鋼の輸入制限を本格決定しましたが、それも相まって近年鉄鋼の価格高騰が進み、日本だけでなく世界にも影響を与えています。その中心となっているのが建設ラッシュ真っ只中の中国。製造業、建設、土木など多数の業界を悩ませているその鉄鋼価格高騰の原因に迫ります。

現在の鉄鋼事情と景気

2017年から2018年にかけて、日本国内の鉄鋼内需は右肩上がりです。東京オリンピックの影響だけでなく、業績が上向いた企業の設備投資や自動車市場の堅調など景気の面を含め、多方面から鉄鋼需要が高まっています。

2018年はさらに拍車がかかることが予想されますが、各国の鉄鋼輸出実績は13カ月で連続減少しています。国別でみると韓国は前年同月比で17.2%減、中国も10.8%減、アメリカに至っては26.2%減と数字を落としています。タイは4.6%増ですが、総じて減少傾向にあることがわかります。

鋼種別にみると冷延広幅帯鋼が14.6%減、亜鉛メッキ鋼板が15.0%減で9カ月連続減少傾向にあるのに対し、厚板は15.9%増で4カ月間連続で増加しています。

中国の鉄鋼価格高騰はなぜ起こる?

2015年末には1トン当たり300ドルを切っていた中国の鉄鋼価格ですが、2018年1月には640ドルにまで高騰しています。
高騰の理由はいくつかありますが大きいものでは、中国が環境問題への対策として、質が悪く環境汚染にも繋がる鉄鋼を違法に製造してきた業者の摘発に力を入れ始めたという点が挙げられます。その摘発された業者の数はおよそ8万箇所以上にものぼると言われています。

つまりは、中国にある工場の約40%が閉鎖や罰金などの処罰を受けたといわれており、以前より鉄鋼生産能力が下がりました。これにより、世界でもトップクラスの鉄鋼輸出量を誇る中国ですが、生産能力が下がることで世界への輸出量が減ってしまっているとの見方があります。

加えて、世界各国で建設、製造業などが軒並み好景気ということもあって、鉄鋼の需要が世界で高まっており、価格の高騰に繋がっているのでしょう。また、操業停止によって、コストが増えたり納期の遅れが発生した影響もあり、価格に反映した結果、高騰の一途をたどることとなりました。

さらに、オーストラリアの炭鉱トラブルと中国の洪水被害によって製鉄に欠かせない原料炭の不足というのも影響しているのではないかとされています。さまざまな要因が複雑に絡み合い、価格高騰だけでなく鋼材輸出量も減少したとみられています。
世界の鉄鋼生産量の約半分を担ってきた中国ですが、トランプ政権との貿易に関わる事柄や今後の国際政治、経済の動向に目を向けておくと良いかもしれません。

2018年も鉄鋼需要は堅調の見通し

鉄鋼内需に関して、建設、土木どちらも増加すると見込まれています。輸入に関しても2018年は前年と同じくらいの見通しがあります。ですが、鉄鋼価格に関しては引き続き、中国の取り組みによって変動していくという見通しが日本鉄鋼連盟からも発表されています。

参考:日本鉄鋼連盟-2018年鉄鋼需要の見通し

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