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帝国劇場で多様な芸能を楽しめるのは建築に秘密が!その秘密とは
帝国劇場の歴史
「今日は帝劇、明日は三越」と、もてはやされ一世風靡した帝国劇場。竣工から100年以上の歴史を誇りますが、今でも日本になくてはならない存在ですね。今回は、そんな帝国劇場の建築の歴史を紐解いていきましょう。当時は、海外に追いつけ!追い越せ!といった勢いのある時代。建設の目的は、舞台芸術や舞台経営を発展させ、海外からの来賓者を日本の伝統芸能でもてなす場所を確保すること。その目的の元、1911年に竣工されました。帝国という名前から国家プロジェクトのような印象を受けますが、資本家や文化人が発起したもので、完全に民間の施設というのも興味深いですね。初代の帝劇は建築様式がルネッサンス風フランス様式であり、装飾が施された白いレンガに覆われたエレガントな姿。鉄骨構造ですが当時の日本には建築資材となる鉄骨が不足しており、英国から輸入もしていました。
苦難をのりこえ今の帝劇に
順風満帆な船出でしたが、ここからは困難も待ち構えています。設計者の横河民輔は欧米で建築を学び、耐震性などにも気を配った設計をしていました。そのため、1923年に関東大震災が発生した際も倒壊はしませんでしたが、隣の警視庁からでた火事に巻き込まれ一部を残して焼失してしまいます。その後、横河民輔により改修されるのですが、初の切符制の導入のために行列を分散させる売り場やお手洗いの位置に悩み、花道の扱いはどうするのかなど課題は山積み。今でこそ帝国劇場で、歌舞伎、新派劇、演劇、オペラと幅広い作品を楽しむことはできますが、それら全てを一つの場で、それぞれの良さを殺さずに表現する舞台を設計するのは大変なことでした。今では、多様なジャンルの芸術の良さを活かしてお客様を満足させている帝国劇場ですが、そんな設計者の悩みと努力のお陰で成り立っているのです。
現代でも見習いたいポイントがある
最後に立て替えたのは1966年に遡り、三菱地所と東映の共同ビルである国際ビルヂングの一部が帝国劇場です。50年の月日が経っていますが、毎日イスの裏まで磨き上げるほど丁寧にメンテンスしているお陰で気品ある姿は当時のままです。しかし守るだけでなく、内部には随所に最新の舞台機構を取り入れるなどして、伝統と現代を上手く融合させています。昔の建築には工事や工法のヒントになりうる可能性が多々あります。技術の研鑽や発展を怠らないよう心がけましょう。
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