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コンクリートが火に強いって実はウソ?知っておくべき火への耐久性
コンクリートは火に強い…?
コンクリートは火や熱に強いものだ、ということは一般的かと思います。実際、コンクリートは火災で木材のように燃え落ちることはほぼありません。ですが、「変質」は起こり、建物構造含めて、大きな影響を及ぼします。
変質することで強度が低下したり、材料の間に緩みが生じて分離してしまうなど、特に耐久性について注目する必要があるでしょう。熱が加われば無条件にというわけでなく、一定の温度まであれば強度は回復しますが、やはり限界を超えてしまうとあらゆる変質が発生します。
とはいえ、建築家とは建てることは専門であって、火事が起きた物件を調査することは稀なので変質について詳しくない方も多いですよね。
変質の温度基準
建てるのが専門であっても、知っておきたい変質の温度基準。どのくらいの温度で変化していくのかをチェックしておきましょう。
- 300℃未満〜表面にすすがつく程度
- 300〜600℃ピンク色に変色
- 600〜950℃灰白色に変色
- 950〜1200℃淡黄色に変色
- 1200℃以上融解してしまう
建物の火災は5〜10分の早さで500℃まで上昇し、最盛期に到達すると600~1000℃となり、このあたりでフラッシュオーバー(室内に可燃ガスが充満しており、それに引火してしまう現象)が起きるというのが建物の火災における温度基準です。
500℃にともなれば、温められ膨張した水分が脱水しようとひび割れを起こしますが、急激な温度上昇があった場合にはコンクリートの表面が爆裂することも!それだけでなく、コンクリート内の水酸化カルシウムが熱分解することで、鉄筋の腐食を防止していたコンクリートのアルカリ性が弱くなり中性化するため、耐久性が落ちるという2つのメカニズムが働いています。
火害後の対応や必要な処置
火災でコンクリートに熱が加えられた場合は耐久性の問題もあるため、迅速に対処していかねばなりません。第一に必要なのは、建物の調査。ここで適切な評価をすることは余計な補強の回避につながり、軽微な地震でコンクリートが崩れ深刻な影響がでることを防ぎます。
コンクリートに詳しい型枠の技術者も、構造技術者などと密にやり取りし、正確な判断を心がけましょう。その判断が、適切な補修案・補強案の方向性を左右します。
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